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沖縄の夜、居酒屋で泡盛を傾けていた時のことだ。
「ブェックショイ!!!」
背後から轟音が響いた。文字通り、度肝を抜かれた。心臓が一瞬止まったかと思った。
振り返ると、そこには手前の男性が振り返ったのと全く同じタイミングで、口をあんぐりと開けて驚いている小柄なオジー(おじいさん)がいた。
その瞬間、私は確信した。このオジーの体内には、おそらく小型のジェットエンジンが内蔵されている。一体どこから、あの華奢な体躯のどこから、あれほどの排気量と音響が生み出されるのか。物理法則を無視しているとしか思えない。
しかし、驚きはそれだけでは終わらなかった。
爆発音のようなくしゃみの直後、オジーは一呼吸置いて、短く、しかし力強くこう呟いたのだ。
「くすけー。」
沖縄生まれ、沖縄育ちの私。琉球の血が流れているはずの私だが、その言葉は初耳だった。
まるでおまじないのような、あるいは宇宙人との交信記録のような、奇妙な響き。
気になって夜も眠れなくなった私は、翌日、その言葉の正体を徹底的に調査した。そこには、沖縄の深い歴史と、ウチナンチュ(沖縄の人)の温かい心が隠されていた。
謎の呪文「くすけー」の正体を追え!
調査の結果、判明したこと。それは、「くすけー」が決してオジーのオリジナルギャグや、宇宙人へのメッセージではないということだ。
「くすけー」とは、沖縄に古くから伝わる、くしゃみをした後に唱える魔除け(厄除け)の言葉である。
なぜくしゃみで魔除け?
「なぜ、くしゃみ?」と思うかもしれない。しかし、これには深い理由がある。
昔の人々は、くしゃみをすると「魂が体から抜け出してしまう」と信じていた。そして、抜け出した魂の隙間に、マジムン(魔物や悪霊)が入り込んで病気にさせたり、不幸をもたらしたりすると恐れられていたのだ。
つまり、くしゃみは「命の危険信号」だった。そこで、魂が抜けないように、あるいはマジムンを追い払うために、くしゃみの直後に呪文を唱える習慣が生まれたのである。
「くすけー」の意味とは?
では、「くすけー」にはどのような意味があるのだろうか。
これには諸説あるが、最も有力なのは「糞(くそ)食え」という意味だという。
「えっ、汚い!」と眉をひそめないでほしい。これには、大真面目な理由がある。
マジムン(魔物)は、清潔なものや美しいものを好む。逆に、汚いものや臭いものを極端に嫌う。
そのため、くしゃみをして魂が抜けそうになった瞬間に「糞食え!」と一喝することで、「ここは汚い場所だぞ!」「お前の食い物なんて、糞くらいしかないぞ!」とアピールし、魔物を退散させるのである。
なんという、合理的(?)かつ、ストレートな魔除けだろう。オジーが居酒屋で「糞食え」と呟いていたと思うと少し複雑な気分になるが、それは彼なりの深い知恵であり、自身を守るための、愛ある呪文だったのだ。

オジーの言葉は、タイムカプセルだ
「くすけー」の調査を進めるうちに、私はハッとした。
私たちが普段、何げなく聞き流しているオジーやオバーたちの言葉。そこには、今の私たちが忘れてしまった、沖縄の古い記憶や文化が、そのままの形で残されているのではないだろうか。
居酒屋で出会ったあのオジーの、爆発的なくしゃみと、その後の「くすけー」。
それは私にとって、沖縄の深い精神文化に触れるための、文字通りの「目覚まし時計」だった。
他にもある?オジーの不思議な言葉たち
「くすけー」以外にも、沖縄には興味深い言葉がたくさんある。
例えば、「ちむぐりさ」。
これは単なる「かわいそう」という意味ではない。他者の痛みや悲しみを、自分の心の痛みとして感じる、沖縄の「肝(ちむ:心)」の文化を表す深い言葉だ。
また、「いちゃりばちょーでー」。

「一度会えば、皆兄弟」という意味だが、これは沖縄の、誰に対しても開かれた、温かいおもてなしの精神(イチャリバ精神)を象徴する言葉である。
これらの言葉は、単なる語彙ではない。沖縄の風土、歴史、そして人々の心が、何世代にもわたって紡いできた、宝物のような言葉たちだ。
継承される、沖縄の心
残念ながら、時代の流れとともに、こうした古い言葉(ウチナーグチ)を使う機会は減ってきている。私自身、オジーの「くすけー」を聞くまで、その存在すら知らなかった。
しかし、言葉が消えるということは、その背景にある文化や心も、少しずつ薄れていくということではないだろうか。
あの居酒屋のオジーは、くしゃみとともに、沖縄の古き良き文化を伝えてくれた。「くすけー」という、少し奇妙で、しかし温かい魔除けの言葉。それを聞いた私は、沖縄の歴史の深さと、人々の知恵に、改めて敬意を表さずにはいられない。
まとめ:あなたの街の「くすけー」を探して
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家の守り神?それとも、ただの居候?愛すべき沖縄の「ヤモリ」の真実沖縄のオジーの、爆発的なくしゃみから始まった、今回の調査。
「くすけー」という、魂を守るための魔除けの言葉の裏には、沖縄の人々の、生命への畏敬の念と、ユーモア、そして温かい心があった。
あなたの周りにも、もしかしたら、オジーやオバーが使う、少し不思議な言葉があるかもしれない。「何だろう?」と不思議に思ったら、ぜひその意味を尋ねてみてほしい。そこには、きっと、あなたの知らない、豊かで温かい世界が広がっているはずだ。
そして、もしあなたが、居酒屋で誰かの爆発的なくしゃみを聞いたら。驚く前に、そっと心の中で、あるいは勇気を出して、こう唱えてみてはどうだろう。
「くすけー!」
それは、あなたと、その場にいるすべての人を守る、魔法の言葉になるかもしれない。
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