沖縄の風を切って走れ! 軟弱ライダー原付回顧録と、ざわつく「新基準原付」のハナシ

沖縄ライフ・コラム

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​沖縄。青い海、白い雲、そして容赦ない車社会

​「電車がない」という事実は、この島に生きる者にとって、移動手段の選択が死活問題であることを意味する。もちろんバスはある。しかし、時刻表通りに来るかは神のみぞ知る(渋滞のせいだ)し、行きたい場所にピンポイントで行けるとは限らない。

​そこで最強のモビリティとして君臨するのが原動機付自転車、すなわち原付(バイク)だ。

​今回は、高校生で免許を取って以来、数々の原付を乗り継いできた私の「ポンコツ原付ライフ」を振り返りつつ、2025年4月から始まった、原付界を揺るがす大ニュース「新基準原付」について、沖縄の現場から考察してみたい。

​駐車場難民とは無縁! 雨が降ろうが、私はカッパを着て走る

​まず、沖縄における原付の圧倒的な利便性について語らねばなるまい。

​最大のメリットは「駐車場を探し回る必要がほとんどない」ことだ。

那覇市の中心部、国際通り周辺を車で移動することを想像してほしい。空いているコインパーキングを探すだけで一苦労だし、見つかっても結構な駐車料金を取られる。

​しかし、原付なら、目的地の間近にある駐輪スペースに、ヒョイっと停められる。この機動性の高さは、一度味わうと病みつきになる。

​そして、沖縄の原付乗りを語る上で避けて通れないのが「雨」だ。

​沖縄は天気が変わりやすい。「弁当忘れても傘忘れるな」という言葉があるかどうかは知らないが、原付乗りにとって雨への準備は重要である。

空が暗くなり、ポツポツと大粒の雨が降り出しても、沖縄のライダーは慌てない。慣れた手つきでメットインからカッパを取り出し、完全装備で再び走り出す。

​「そこまでして乗る?」と思うかもしれない。

だが、バスを待つ時間や、渋滞に巻き込まれる時間を考えれば、カッパを着てでも原付で移動する方が、はるかに合理的(だと信じている)なのだ。

​試験に落ちたポンコツ高校生、ホンダ・リードSSでデビュー

​私が原付の世界に足を踏み入れたのは、高校生の時だ。

沖縄の高校生にとって、原付一種(50cc)の免許を取ることは、ある種の成人式のようなものだ(言い過ぎか)。行動範囲が一気に広がる、魔法のチケットである。

​しかし、ここで私のポンコツエピソードを披露しなければならない。

​実は私、原付の筆記試験に1回落ちている

​「原付の試験なんて、常識があれば受かるだろ」と高を括っていたのだ。試験場にいた他の高校生たちが、合格発表の掲示板を見て歓声を上げる中、私は静かに、再試験の申し込み窓口へと向かった。あの時の、なんとも言えない恥ずかしさと、むなしさは今でも忘れられない。

​2回目でなんとか合格し、私のバイクデビューを飾ったのが「ホンダ・リードSS」だ。

​当時は、今のスクーターのような丸っこいデザインではなく、もう少し角ばった、近未来的な(と当時は思っていた)フォルムだった。この相棒を手に入れたことで、私は沖縄の道を、文字通り「自分の足」で駆け巡ることができるようになった。

那覇市から本部町の海洋博覧会記念公園まで走らせたものだ。今考えると、無謀でしかないが…。

​数々の浮気を経て、リード125へ。原付2種の破壊力

​その後、時は流れ、シニア世代と呼ばれる年齢になった。

その間、私の愛車は変わっていった。

  • ​ホンダ・タクト
  • リード50
  • ​sym(エス・ワイ・エム) 風50

​タクトは優等生だった。symは台湾メーカーで、デザインが可愛くて購入したが、やっぱりメンテナンス性などを考えると、国産が安心という結論に至った。外国産はスピードのリミッターがないのか、50ccで80km/h出るという噂もあった。でも、50ccの最高制限速度が30km/hでは意味のないポイントになる。

​そして現在、私が乗っているのは「ホンダ・リード125」。

結局、最初の相棒であるリードに戻ってきたのだ(排気量は違うが)。

​50cc(原付一種)から125cc(原付二種)に乗り換えた時の衝撃は、今でも鮮明に覚えている。

「排気量が大きくなった分、エンジンパワーが上がり、スタートやのぼりの坂道は楽になるだろう」

​そんな生易しいものではなかった。

「めちゃくちゃ楽」。この一言に尽きる。

​沖縄は、実は坂道が多い。

50ccの頃は、那覇の泊高橋(とまりたかはし)のような陸橋や、首里へと続く坂道に差し掛かると、エンジンが「ウーン、ウーン」と悲鳴を上げ、スピードがみるみる落ちていった。後ろから車に煽られる恐怖と戦いながら、必死にアクセル全開で登っていたものだ。

​しかし、125ccは違う。

アクセルを少し回すだけで、パワフルに坂道をグイグイ登っていく。信号待ちからのスタートダッシュも、車の流れに乗ることができる。この余裕、この安定感。

「もっと早く原付二種にしておけばよかった」と、心底思った。

​2025年の激震! 「新基準原付」を沖縄はどう見るか

​さて、ここからが本題だ。

2025年4月、日本の原付界に大きな制度変更が施行された。いわゆる「新基準原付」の導入である。

​これは、排ガス規制に対応するため、従来の50ccエンジンの製造が困難になったことを背景に、「125cc以下のバイクのエンジン出力を、意図的に最高出力4.0kW(5.4PS)以下に制限し、それを『原付一種(50cc相当)』として扱う」という新制度だ。

​つまり、外見や中身は125ccのバイクなのに、パワーだけが50cc並みに抑えられた不思議な乗り物が誕生したのだ。

​新基準原付のポイント

  1. 免許: 原付免許や普通免許(車の免許)で運転可能。
  2. 交通ルール: 時速30km/h制限、二段階右折が必要など、従来の原付一種と同じ。
  3. メリット: 排気量が大きくなった(車体が大きくなった)分、エンジンパワー(トルク)は上がり、スタートや登り坂は、従来の50ccより楽になる可能性がある。
  4. デメリット: バイクの価格が、従来の50ccより5万〜10万ほど高くなると見込まれている。
  5. 未来: 今までの純粋な「50ccエンジン車」は生産終了となり、販売されなくなる。

​沖縄の原付シーンはどう変わる?

​正直なところ、この制度は「微妙なところ」だ。

​排気量が大きくなったことで、坂道が楽になるのは、沖縄のライダーにとって大歓迎だ。

しかし、「125ccの車体」なのに、「時速30km/h制限」を守り、「二段階右折」をしなければならない。

例えば、広い国道58号線を、30km/hで走るのは、ある意味で命がけだ。後ろからビュンビュン飛ばしてくる車に恐怖を感じるのは、50ccの頃と変わらないだろう。

​そして、価格の上昇も痛い。

沖縄では、通勤・通学の足として、安価な50ccバイクを利用している人が非常に多い。5万〜10万円の価格上昇は、家計に小さくない影響を与える。

​それでも、メーカーが50ccを作らなくなる以上、私たちはこの「新基準原付」を受け入れるしかない。

​これから原付免許を取る高校生たちは、私たち世代が乗っていたような「小さくて、軽くて、安い50cc」ではなく、「大きくて、重くて、ちょっと高い新基準原付」で、30km/h制限を守りながら、沖縄の風を切ることになる。

​これから原付を選ぶなら

​すでに「小型限定普通二輪免許(原付二種免許)」を持っている私としては、新基準原付の登場は、125cc(原付二種)の優位性をさらに際立たせるものだと感じている。

​新基準原付は、あくまで「免許を持っていない人」が仕方なく乗る選択肢であり、もし少しでもお金と時間に余裕があるなら、教習所に通って原付二種免許を取り、制限速度60km/h、二段階右折不要の「本物の125cc」に乗ることを強くお勧めする。

​坂道も、交通の流れも、そして安全性も、原付二種の方がはるかに上だ。

​まとめ:それでも、原付は沖縄の自由の象徴

​「新基準原付」の登場で、沖縄の原付事情は、これから少しずつ変わっていく。

安価で手軽な移動手段だった50ccが姿を消し、価格が上がったことで、バイク離れが進むのではないかという懸念もある。

​しかし、私は信じている。

駐車場難民にならず、細い路地もすいすい走れ、雨の日にはカッパを着てドヤ顔で走る、あの沖縄独自の原付文化は、そう簡単には消えないと。

​たとえ乗り物が「新基準」になろうとも、原付がもたらしてくれる「移動の自由」は、この電車のない島において、何物にも代えがたい価値がある。

​今日も沖縄のどこかで、カッパを着たライダーが、少しパワフルになった新しい相棒と共に、坂道をグイグイ登っていることだろう。試験に1回落ちたポンコツ高校生だった私も、今はリード125で、快適な沖縄バイクライフを楽しんでいる。

家族には内緒だが、私のリード125はピカピカの輝きを放っている。なぜなら…

高級な車に使うであろうコーティング剤を使っているからなのだ。リード125への愛情!もちろん、家族への愛情が勝っているが。

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